片道切符と夢の話

浪華の七星と日向の坂道

虚妄はてなブログ 第6話

今日は車校に行っていました

連載記事の書き方誰か教えてください

 

 

ここに来てから1週間。
今は、かずくんの実家にお世話になっている。
久しぶりに会う私を、おばさんもおじさんも歓迎してくれた。
そればかりか、2人に事情を説明すると両親に連絡を取り上手く丸め込んで大阪に居ることを認めさせた。
今は、上京したかずくんの弟が使っていた部屋を使わせてもらっている。

今日もかずくんと2人で家を出て、途中で丈くんと合流する。
これからお店で私とかずくんはキッチンにこもってメニューの試作。
丈くんは店内のインテリアを組み立てる予定だ。

お店に向かう電車に揺られていると、丈くんがこんなことを聞いてきた。
〔そういや、大橋と舞佳ってどこから血繋がってるん?〕
「あぁ、私のお母さんとかずくんのお母さんが姉妹なの。」
『舞佳ちゃんのお母さんと俺の母さんと、末っ子の叔父さんの3人姉弟やってんな。」
「そうそう!叔父さんは私たちとの方が歳近いけどね。」
こんな他愛もない会話をしていると、最寄り駅まですぐに着いてしまうから不思議だ。


キッチンにいる私とかずくんの表情は、さっきから曇りっぱなしだ。
不器用な丈くんが組み立てに悪戦苦闘してるのが、窓越しでも伝わってくるから。
さっきはバキって音もしたし、何かをひっくり返すような動きも見えた。
怪獣みたいな唸り声もたまに聞こえる。
私たちはほとんど同時にため息をつき、目線を交わした。
そして私は作り置きのクッキーを温め直しにレンジに向き合い、かずくんはコーヒー豆を取りに行った。
目だけで会話ができるのって、血の繋がりのなせる技なのかな。
私たちは阿吽の呼吸でクッキーとコーヒーのセットを作り、キッチンを出た。
『じょうくん、ちょっと休憩しよや』

 

〔説明わかりにくいねん、これ。〕
私の作ったアーモンドのクッキーをかじりながら、丈くんがぼやいている。
「かずくんから聞いてはいたけど、丈くん本当に不器用なんだね。」
〔…るさい。〕
〔今日大倉さん来るんに、絶対からかわれるわ…〕
「大倉さんって?」
自分でいれたコーヒーを飲みながら、かずくんが教えてくれた。
『丈くんの大学の先輩で、この建物紹介してくれた人らしいで。まぁ俺もまだ会うてへんのやけど。』
〔はぁ、あの人俺の不器用をいじんの好きやねんな…〕
丈くんがため息をついた、その時だった。

藤原丈一郎おる?約束しとった大倉やけど…》

 

丈くんいわく、そのときの私とかずくんは全く同じ表情をしていたらしい。
そりゃあそうだろう。
そこにいたのは、かつての面影をそのまま残した"私たちのお兄ちゃん"だったから。

「忠義くん…?」
『え、なんで。まさか丈くんの言ってた大倉さんって、忠義くんやったん?』
〔え、大橋、舞佳、どうしたん?〕
〔2人とも、大倉さんとは初対面やろ…?〕
《大橋、舞佳…? 》
《丈、こいつら大橋和也と、岸田舞佳?》
〔そうすけど…大倉さん、なんで知ってんすか?〕
《…俺、この2人の母親の弟。つまり、叔父。》

 

丈くんがここまで驚いた顔をしたところを見たことがない、とかずくんは言っていた。
私も、なんか漫画みたいで面白いな、と、頭の片隅でぼんやり考えていた。
これまでの偶然と驚きの連続のせいで、感覚が麻痺していたのだろう。
今日も私たち、忙しくなりそうだ。

 

 

やっと出せました大倉くん…